クマの顔認識AIを開発 個体の識別・行動研究に期待
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)がヒグマの個体を識別できる人工知能(AI)ツールを開発した。目視ではわからない違いを識別でき、ヒグマの行動を正確に追跡しやすくなると期待される。
ヒグマを確実に識別するのは、見た目ほど簡単ではない。クマのサイズ、体重、毛皮は季節によって変化するため、熟練した専門家であっても目視による識別は難しい。この点を克服するために、EPFLの研究者たちはAIに着目した。
EPFLが開発したAIツール「PoseSwin外部リンク」は、個々のヒグマに特有の特徴を区別できるように訓練された顔認識システムを活用している。
アラスカの厳しい自然環境でテストされたこのアルゴリズムは、高い信頼性を実証し、野生個体群を追跡する新たな手段に道が開けた。
社会的な相互作用
PoseSwinは世界最大のヒグマ生息地とされるアラスカのマクニールリバー国立公園でテストされた。EPFLの科学者たちは2017~22年にかけて、あらゆる天候、時間帯にヒグマ109頭の写真を7万2000枚以上撮影した。
自動画像分析により、アルゴリズムは鼻先の形、額、耳、目に見える傷跡など、非常に正確な基準に従って写真を分類した。これらの要素により、肉眼では違いの分からない個体を区別することが可能になった。
その結果、合計150頭のヒグマが正確に識別された。これにより、生物学者はヒグマの行動や移動、長期にわたる社会的な交流に関する貴重な情報を得られる。
またメトリックラーニングと呼ばれる方法を試したところ、「AIプログラムがクマの外見だけでなく、そのアイデンティティに近い何か、根本的な何かを捉えた」(EPFLのアレクサンダー・マティス教授)ことが分かった。別の国立公園の訪問者が撮った写真から、ヒグマの行動範囲を分析することもできたという。
さまざまな動物に応用可
PoseSwinは、これまで長時間で骨の折れる作業だった画像の分類・分析にかかる時間を大幅に短縮できる。研究者はデータの科学的解釈に集中できるようになる。
PoseSwinに用いられた自動認識の原理は、高い精度と大幅な資源節約につながり、他の動物種にも適用できる可能性がある。
長期的には、立ち入りの難しい自然環境でも動物を観察しやすくなり、生態学や保全に関する研究にも役立つことが期待される。
英語からのGoogle翻訳:ムートゥ朋子
スイスインフォではコンテンツの一部にDeepLやGoogle 翻訳などの自動翻訳ツールを使用しています。自動翻訳された記事(記事末に明記)は、編集部が誤訳の有無を確認し、より分かりやすい文章に校正しています。原文は社内の編集者・校正者によるチェックを受けています。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。